PCオーディオとかネットオーディオとか、あるいはファイルミュージックとか、メディアによって呼び方が様々に違うところなんか、まさに黎明期って感じですよね。で、黎明期ならではの、後世に都市伝説と言われるかもしれないような話について書いていこうと思います。
4回目の今回はオーディオ用高品質LANケーブル(笑)です。
今や仕事でもプライベートでも大変お世話になるLANケーブルですが、おいくらぐらいですかねぇ。完成品のカテゴリー6で2〜300円/m程度のものでしょうか。
オーディオ用LANケーブルに先鞭をつけたのはなんといってもオーグラインでしょう。なんと10万円/mです。何十万円もする電源ケーブルとかスピーカーケーブルとかにはもう慣れましたが、たかだか1mのLANケーブルが10万円もする時代になるとは夢にも思いませんでした。
試聴した人のブログもいくつかあって、曰く「圧倒的な高解像度」、「広大なサウンドステージ」など、感動のレポート書かれていました。そりゃ10万円もするんだから圧倒的なくらい書かなけりゃ割に合わないってもんです。
傑作だったのは「10mあるLANケーブルの先にオーグラインを1mつなぎ足しただけで音が激変した」とか、「NASにリッピングするときにオーグラインを使うと音がいい」とか(爆笑)、もうオカルトを通り越して宗教がかっています。信じるものは救われる、みたいな。
どういう理由で音が変わる、もとい、改善されるのか理屈を考えてみました。
ジッターを低減させるのか?
デジタルオーディオの音を濁す最大の敵がジッターであることは、今や常識でしょう。ジッターとはデジタルデータの時間方向の揺れですね。SPDIF光ケーブルの開発もジッターとの戦いでした。
じゃLANケーブルでもジッターの影響があるんでしょうか?
これは100%あり得ないです。ジッターどころか、そもそもLANで使われているインターネットプロトコルってデータの、正確にはパケットの到達順を保証しません。1,2,3って送っても受信側には1,3,2って届くかもしれません。正しい順番に並び替えるのは受信側の責任です。ケーブルでどうこうできるものじゃないです。
データが化けるのを防ぐのか?
一般論でいえば、LAN上を流れるデータが化けるわけありません。最近では見積書をメール添付で送ってくる業者さんも増えましたが、データ化けで見積金額の桁が変わったら大変でしょう?
これはTCPというプロトコルが到達確認をするからです。実際はLAN上を流れるデータは結構ビットエラーとかあるんですけど、TCPはエラーがあるとデータの再送要求をかけて正しいデータを送り直してもらう機能があります。LANよりも遙かに条件が悪いインターネット経由でもデータが正しく送れるのはTCPの再送のおかげです。
ところがUDPというプロトコルになるとちょっと事情が変わって、こちらは送りっぱなしで到達確認をしません。データの正確性よりもリアルタイム性を重視する通信でよく利用されるプロトコルです。UDPだとノイズの影響などでビットエラーが増えると、確かに音を悪化させることになるでしょう。
ネットワークオーディオで使われるDLNAはトランスポートにTCPとUDPのどちらでも使えるはずですが、リンのDSのようなプレーヤーはどっちを使っているんでしょうね?UDPを使うストリームだと確かに外来ノイズの影響はあるのかもしれません。
パケットのリアルタイム性が影響か?
前述のようにTCPは再送処理を行うのでリアルタイム性に難があります。あまりにパケット破棄が多いとオーディオストリームに処理が追いつかずこれも音質が劣化するでしょう。
でもLANの実行スピードが30Mbpsくらいですか?CD品質のビットレートってたかだか1.5Mbps程度ですから、処理が追いつかないってことはないんじゃないでしょうか。インターネットならいざ知らずLAN環境でそんなに大量のパケット破棄があるとも思えないですしね。
LANケーブルを流れるアナログ雑音の影響?
LANはデジタル伝送ですが、そのデジタルデータを運ぶのは結局アナログ信号。PCやNASのようなノイズ源からLANケーブルを伝ってオーディオ機器にノイズが伝わることもあるでしょうし、LANの経路で外来雑音が乗ることもあるでしょう。音楽用途には外来ノイズに強いLANケーブルが適している、ということはあるのだと思います。
使ってみた。。。
いろいろと想像するにLANケーブルであっても、その作りが音質に影響を及ぼす要因はありそうです。ま、音がよくならなきゃ話になんないんで買ってきました。
オーディオケーブル大手のSAEC製SLA-500 0.7mです(楽天で探す)。価格は定価で14,700円と、オーグラインと比較してぐっと現実的な値段です。もっとも1mもないLANケーブルだと考えると、我ながら奮発したものです、中古ですけど。
このLANケーブル、SAECとSUPRAが共同開発したそうで、能書きには以下のような記述があります。
サエクコマース株式会社はスウェーデンのケーブルメーカー「SUPRA(スープラ)社」と共同開発したオーディオ用の高品質なLANケーブル「SLA-500」を発売いたします。デジタルオーディオの普及に伴って、オーディオ・ビジュアルの分野でもデジタル接続に新しい試みが見られます。その一つの手段として、LANケーブルを用いた接続も増えて来ました。また、パソコンと外部の記憶装置をつないで音楽を楽しむ使い方も増えました。今までのPC用途でのLANケーブルはデータを正確に伝える事だけが目的でしたが、デジタルオーディオでの活用ではそれに加えて徹底的にノイズ対策を施した音の良いLANケーブルが必須になります。「SLA-500」はSUPRA社のオリジナルOFC導体を採用し、ロスの無いデジタル伝送を確保するとともに、音質に影響する部分には長年のオーディオケーブル創りの中で培ったサエクコマースとSUPRAのノウハウを投入して完成させたオーディオ用LANケーブルです。その結果、LANケーブルをはじめ、デジタル伝送ケーブルにとって重要な、インピーダンスの整合、広い周波数帯域、ケーブル端部における低クロストーク、低減衰、高いシールド効果、低リターンレス、そして導体毎の伝送速度の均一化を実現しました。LANケーブルの新しい世界を体感ください。
まるでアナログかSPDIFケーブルのような文言が並んでいるところが怪しさ爆発です。さらに、
- 正確なインピーダンス
- 低クロストーク・低減衰
- 高いシールド効果
- 低伝送速度差
- 低リターンレス
- 広い周波数帯域
などなど呪文のような宣伝文句が並びます。これ書いた人、理解して書いているんでしょうか(笑)。
上がSAECの音楽専用LANケーブル、下がヨドバシで買った普通のLANケーブルにしては高品質なカテゴリー7のケーブル。SAECのケーブル、堅いです。ぜんぜん曲がりません。ムリに曲げるとストレスがかかって音質に悪影響が出そうです…
…で、取り替えて試聴してみました。
「かわんね〜じゃねーか!」
ほとんどというか、全然といっていいほど変わりません(^^ゞ ハブとDS間の70cmだけしか換えていないからでしょうか。ハブと壁コンセント間の3mも換えてみたくなってきました。
やっぱり10万円/mじゃないと霊験あらたかではないのかもしれません。それに中古だし。オーディオユニオンにはSAECの中古が何本かありました。これ、買った人が「かわんねー」っていって中古屋に売却したってことなんでしょうね。とりあえずわかったことは、「コストパフォーマンス悪すぎ」ってことでしょうか。
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